今日から始める、ブランドのための自社EC

Kstyle Blog Amazon・楽天の悩み

――Amazon・楽天セラーが次に選ぶべき戦略としてのShopify


はじめに:便利さがもたらす“見えない不自由”

Amazonや楽天といった巨大モールに出店することは、多くの事業者にとって「最も手軽に始められるECの第一歩」として理想的です。初期投資が比較的少なく、即日販売開始が可能。しかも、すでに購買意欲の高いユーザーが日々訪れるプラットフォームに商品を並べれば、一定数の注文は自然と入ってきます。

しかし、ある程度の実績を積んだセラーほど、ふとした瞬間に疑問を持ち始めます。
「この売上、本当に自社ブランドの成長につながっているのか?」
「お客様が何を思って買ってくれたのか、なぜ何度も買ってくれないのかが分からない」
「レビューの星が全てを決め、価格競争に巻き込まれるばかりでは、どこまでやっても限界があるのではないか」

これは、モールが提供する「便利な売れる仕組み」が、同時に「自由の制限」と「顧客との距離」を生んでいるという構造に起因しています。


第1章 モール販売が抱える構造的な壁

モール販売はあくまで「プラットフォーム上で販売を代行してもらう」モデルです。その性質上、事業者は以下のような制限に常に晒されることになります。

1-1 利益率が上がらない理由

販売手数料(10〜15%)、ポイント原資負担(1〜5%)、広告費(RPP、SP広告など)、イベント協賛費などが日常的にかかります。粗利が10%を下回ることも珍しくなく、「売上=収益」ではない構造になっています。

1-2 顧客情報の非取得

モールでは顧客のメールアドレス、購買履歴、カート離脱行動、レビュー投稿履歴といったCRMの基盤となるデータを取得できません。つまり、リピート促進も、アップセル提案も、ファン育成も、ほぼ不可能です。

1-3 ブランド構築が困難

ページデザインがテンプレート化されており、商品画像・タイトル・レビュー・価格という数値的要素でしか訴求できないため、ブランドの理念やこだわり、ストーリーが伝わりません。結果、価格競争・レビュー数競争に巻き込まれます。


第2章 Shopifyが提供する“自社EC”という選択肢

Shopifyは、誰でも簡単に自社ECサイトを構築・運営できるプラットフォームです。2017年以降、世界中のD2Cブランドに支持され、2025年現在、日本国内でも急速に導入が進んでいます。

Shopify最大の特徴は、**「すべてを自分で設計・運用できる」**ことです。
ドメイン、デザイン、決済方法、配送手段、集客導線、顧客対応、ストーリーページの作成まで、すべてが「自社の裁量」で進められます。

とくに重要なのが「顧客データを所有できる」点です。
・誰がどのページを閲覧し、
・どの商品をどんな流入経路で買い、
・その後何回リピートしたのか

という行動履歴が可視化され、施策のPDCAが回せるようになります。これは、モールには絶対に真似できない強みです。


第3章 実際の導入ステップと運用イメージ

Shopifyの立ち上げには、大きなハードルはありません。以下のような流れで構築できます。

ステップ1:商品情報の移行

Amazonセラーセントラルや楽天RMSからCSVで商品データをエクスポートし、Shopifyにインポートします。アプリ「Matrixify」を使えば、画像付きで一括登録可能です。

ステップ2:デザイン設定

Shopifyには無料テーマ「Dawn」などがあり、ドラッグ&ドロップでデザインが可能。色、フォント、トップバナーの画像などもブランドイメージに合わせてカスタマイズできます。

ステップ3:決済・配送設定

Shopify Paymentsを有効化すれば、主要クレジットカード、Apple Pay、PayPay、あと払い決済にも対応。配送はAmazon FBAを連携させれば、Shopifyから注文が入った場合もFBA倉庫から発送可能(Multi-Channel Fulfillment)。

ステップ4:集客とリピート導線の設計

Instagramのプロフィールリンクを公式ストアへ変更。発送時に同梱するチラシで「Shopify限定クーポン」「LINE登録特典」を案内し、自社ECにリピーターを集めます。LINE公式アカウントと連携してステップ配信やクーポン施策を自動化すれば、手間をかけずに顧客と継続的な接点が作れます。


第4章 導入による効果事例(実数値ベース)

ある日用品メーカーは、Shopify導入前、Amazon・楽天の合計で月商700万円を維持していましたが、粗利率は12%前後。
導入後6ヶ月で自社EC比率は全体の25%を超え、粗利率は22%まで改善。LINE友達数は3,500名以上となり、リピート率はモールの3.5倍になりました。

とくに注目すべきは、「レビュー率」と「滞在時間」の伸びです。
Shopifyではレビューに画像・動画を掲載でき、平均投稿文字数が200文字以上になり、ユーザーの投稿をブログやLPに再利用できるように。さらに、ストーリーページと商品ページを連動させたことで、1訪問あたりの平均滞在時間が6分を超え、カート投入率が安定して改善しました。


第5章 モール+Shopifyで最強の販路構成を作る

Shopifyは「モールの代替」ではなく、「モールの売上をより利益に変える仕組み」です。

  • 新規集客は楽天・Amazon
  • リピート・ブランド構築はShopify

という役割分担をすれば、広告費は最小化しながら、LTVを最大化する設計が可能です。

これは、1つの大河(モール)と1つの泉(自社EC)を共存させるモデル。モールで得た“流入”を自社ECの“定着”に変えれば、EC事業は長期的に安定します。


終章 あなたのブランドは、どこで語るのか?

Amazonや楽天の売上があるのは、間違いなく「あなたの商品に価値があるから」です。では、その価値を、あなた自身の言葉で、あなた自身のストーリーで、しっかり語れているでしょうか?

Shopifyは、そのための「場」を提供してくれます。
顧客と語り、共感し、関係を育てていくことで、価格競争では得られないブランドの成長が手に入ります。

今日、無料トライアルを始め、1商品だけでも登録してみてください。
そこから始まるのは、数字では測れない、自社ブランドの“未来”です。

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