自社ECで築く、これからのブランド戦略

Kstyle Blog Amazon・楽天の悩み

――Amazon・楽天セラーがShopifyを導入すべき理由と方法

1. モール依存に潜む3つのリスク

Amazonや楽天などのモールは、新規顧客を獲得する上で非常に有利な場所です。検索に強く、集客の基盤が整っており、セラーにとって「売れる仕組み」が既に用意されています。しかし、その一方でモールの仕組みに頼り続けることにはいくつかのリスクが存在します。

第一に「利益率の低下」です。Amazonでは販売手数料として10〜15%、楽天では3〜7%に加え、ポイント原資や広告費がかかります。さらに、表示順位を維持するためにはRPPやSP広告などへの継続的な出稿が求められ、これらが積み重なると粗利が著しく圧迫されることになります。

第二に「顧客データを取得できない」点です。モールでは購入者のメールアドレスや電話番号などが非公開であり、リピートを促すメール配信や特別キャンペーンの案内が自社の裁量ではできません。これにより、LTV(顧客生涯価値)を高める施策がほぼ打てない構造になります。

第三は「ブランド表現の制限」です。商品ページは基本的にモールが用意したテンプレートに沿って構築されるため、動画や開発ストーリー、ブランドの想いといった訴求を深める情報は最小限に留まります。


2. Shopifyがもたらす4つの自由

Shopifyは、世界中で数百万のストアが利用しているECプラットフォームで、日本でも多くのD2Cブランドに採用されています。月額3,400円から利用でき、非常に高い拡張性と自由度を備えています。以下はShopifyを導入することで得られる主要なメリットです。

  1. 利益率の向上
    Shopifyでは販売手数料は発生せず、決済手数料(約3〜3.9%)のみ。これにより、同じ商品でもAmazonや楽天より高い粗利を確保することができます。
  2. 顧客データの所有
    注文時に取得した顧客情報(名前、住所、メール、購入履歴)は全て自社で管理できます。これにより、LINE配信・メールマーケティング・CRMの実行が可能になります。
  3. ブランド訴求の自由度
    ストアのデザイン、構成、文章、画像、動画など全てを自由に構成できるため、商品を「スペック」ではなく「価値」で伝えることができます。
  4. マーケティングの多様性
    SEO、SNS、メルマガ、LINE、広告などを組み合わせ、顧客獲得チャネルを自社で最適化できます。流入→購入→リピートという一連の導線を戦略的に設計できます。

3. Shopify導入のステップ

Shopifyで自社ECを始めるには、以下のようなステップで進めていくのが一般的です。

ステップ1:商品情報の移行

楽天RMSやAmazonセラーセントラルから商品データをCSVでエクスポートし、Shopifyのアプリ「Matrixify」などを使って一括インポートします。画像や説明文もそのまま利用可能です。

ステップ2:ストアデザインの設定

Shopifyには無料テーマが多数用意されており、初期段階では「Dawn」などを選択すれば十分です。ブランドカラーやロゴ、フォントを設定し、必要に応じてナビゲーションや商品ページを調整します。

ステップ3:決済と配送の設定

「Shopify Payments」を有効にすることで、主要なクレジットカード決済に対応できます。FBAや楽天ロジを使用している場合、API連携によってShopify側の注文も同じ倉庫から出荷することが可能です。

ステップ4:集客導線の構築

InstagramやX(旧Twitter)などのSNSプロフィールに自社ECのURLを設定し、モール発送時に同梱するチラシに自社サイトや限定クーポンの情報を記載します。これにより自然な形でモールから自社ECへの移行を促すことができます。


4. 成功事例から学ぶ効果の実際

あるアパレル系のセラーは、楽天とAmazonの両モールで月商500万円を維持していました。Shopifyストアを新設し、SNS・レビュー活用・LINEステップ配信の3軸で運用を開始。自社EC比率は半年で全体の30%を占めるようになり、粗利は約1.9倍に拡大しました。

リピート率はモールでは6%だったのに対し、自社ECでは28%に到達。顧客が商品だけでなく「ブランドの姿勢」に共感してくれるようになり、価格競争から脱却できたとのことです。


5. Shopify運用コストの現実的目安

  • Shopify Basic:月額3,400円
  • ドメイン取得費:年間1,500円程度
  • アプリ利用料(レビュー、LINE、ステップメール等):月額5,000〜10,000円
  • 初期広告テスト費用:月額20,000〜50,000円

導入後、月商の10%以上を自社ECで達成すれば、十分に投資対効果が見込めます。初月から黒字化した事例も複数存在します。


6. よくある懸念への回答

Q:在庫は二重で持たないといけませんか?
A:FBAや楽天ロジのAPIを使えば、在庫はそのままでOKです。

Q:難しそうで心配です。
A:Shopifyは管理画面が非常に分かりやすく、テンプレートも充実しているため、専門知識がなくても構築可能です。

Q:モールはやめるべきですか?
A:いえ、モールと自社ECを併用する「ハイブリッド運用」が最も理想的です。


7. まとめ

Amazonや楽天で売れているセラーほど、次に目指すべきは「自社ECによる利益最大化」と「顧客との関係性構築」です。Shopifyは、そのための理想的なプラットフォームです。

売上があっても利益が薄く、顧客とつながれず、ブランドが構築できないという現状を、Shopifyは一気に変えてくれます。14日間の無料トライアルを活用し、まずは1商品でも良いので登録してみてください。

それが、あなたのビジネスの次の章を始める最初の一歩となるはずです。

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